1/144 M-120A1 ZAKU MACHINE GUN
ザクシリーズの制作において要となるオプションのひとつ「ザクマシンガン」を「開発」しました。あえて「開発」としたのは規格化と複製を前提とした事やオプション換装等まで考慮したモデルにしたかったのでワンオフの模型とは違うアプローチになるという事からです。これらの目的を実現させる為今回自身初の3D設計及びプリントに挑戦したのが本作です。



デザイン
既発のキット群に付属するザクマシンガンは写真1のような状況。何れも原典とは異なる解釈であり正直特に格好良くなったとか機能的に説得力が得られたという感じは読み取れませんでした。原典を尊重しかつ美しく格好良くアップデートされているのは現状ジオノグラフィのみといった印象からこれらを踏まえジオノグラフィのデザインをHGUCの寸法に合わせた方向で纏める事にしました。
(写真1)


3Dデータの制作
3Dについてはだいぶ昔にSHADEシリーズ、AutoCADを使用していたこともありいくらか心得はあったものの5年近く触っていなかったのでガンプラに適したソフトの選定に1~2か月かかりました。最初はTinkerCAD, FreeCAD, Zbrushを試し最終的に Fusion360 に落ち着きました。通常数十万、数百万円はする3Dソフトですが月額数千円で使用可能、性能も申し分ないのでお勧めです。
バレル、マガジンはHGUCママ、グリップはHGUCザクの手にフィットするサイズに固定し他の部分をイラストレーターでスケッチを起こし それを基に3Dデータを作成しました。




ストックのフォールディング
ザクマシンガンのストックって何気にやっかいなんですね。ポージングは制限され、背中や武器マウントに装備するにもなかなか苦労する、かといってオフィシャルサイドでも取り回しについて特に確立されたものは無い~という事を踏まえ今作についてはシンプルにフォールディングする為のヒンジを追加する事にしました。ただ後にこの方向では格好良く盾にマウントできない事を発見ーリビジョンに廻すことに。




プリント結果と完成品
プリントアウトは台湾のプリントサービス「3DMart」を利用。FORM2方式による光硬化樹脂製(積層ピッチ0.1ミリ)。プリント結果は印刷方向により積層痕の目立つところとそうでない所の差が大きく初歩的な模型スキルや工具が無ければそのままの使用は厳しいと感じました。0.3ミリ以下のディティールは消えてしまう、1ミリ以下の造形は丸っこくドロッとしていまうのでリベットのようなディティールは甘めになり不向き、等々もうすこし機器の進化を待たねばならない印象でした。プラ自体はプラモデルキットにくらべやや硬く脆いですが、それ以外は特に問題は感じませんでした。後は金銭的な問題 – 今回のザクマシンガン10丁分印刷で5~6万円、日本国内のサービスは見積もってみたところこの数倍から10倍でしたので諦めました。今後は他の海外サービスも相見積しながら印刷先を開拓していこうと思います。自身でプリンターを買う事については現在は見合わせ中。理由はプリンターの値段が100~200万円と高額なのもありますが、他に紫外線硬化装置、アルコール清浄機、液体樹脂、洗浄液の確保と保管、と、ちょっとした台所くらいの空間が必要になる事です。


今後のリビジョンポイント
●現段階の設計ではザクの右肩シールドにマウントする際ストックを折り畳めない。リビジョンではヒンジ位置を反転する必要あり。
●銃口はディティールが溶けてしまうので別パーツに
●フロントグリップに回転機構を追加
●ストック形状気持ち短めにして引き締め
●スコープ後ろの円柱が歪んでしまうので別パーツに
●グリップ及びスコープの支え部分が薄過ぎなのでリビジョンについては厚みを加える
参考動画